研究紹介:ランダムMACアドレス環境における同一端末識別技術 (2024)

BluetoothのMACアドレスがランダムに変わった場合でも、端末を追跡し続ける手法を検討した研究の紹介です。

文献情報

  • 著者: S. Akiyama, Y. Taniguchi
  • 題目: A device identification method from BLE advertising packets with randomized MAC addresses based on regression of received signal strength
  • 雑誌: IEICE Communications Express
  • 出版: 2024年3月
  • DOI: https://doi.org/10.23919/comex.2023XBL0157

研究概要

私たちのスマートフォンや紛失防止タグには、Bluetooth Low Energy(BLE)という省電力の無線通信技術が使われています。これらの機器は、周囲に自分の存在を知らせるためにアドバタイジングパケットと呼ばれる電波を定期的に発信している場合があります。

この電波には、機器の識別番号であるMACアドレスが含まれています。例えば、商業施設に複数のセンサーを設置してこのアドレスを観察すれば、「人がどのように移動したか(人流データ)」を把握でき、混雑緩和や店舗レイアウトの改善に役立てることができます。しかし、これには重大な問題があります。個人の行動が第三者に完全に追跡されてしまうため、プライバシー侵害の恐れがあるのです。

そのため、現在の多くの機器では、プライバシー保護のためにMACアドレスをランダムにコロコロと変更する仕組みが導入されています。これにより第三者による不正な追跡を防げるようになりましたが、一方で、正規の目的で行う「統計データ分析」まで難しくなるという、新たな課題が生じました。

この研究では、MACアドレスがランダムに変わる環境で端末を追跡する手法を提案しています。 提案手法では、アドレスがランダムに変わっても、電波が届いた「時間」と電波の「強さ」の変化パターンを分析します。そして、バラバラになったデータ同士を正しくペアリングする「線形割当問題」という数学的なアプローチを使い、「アドレスは違っても、実は同じ一つの端末から出た電波だ」と一定の精度で見破ることに成功しました。

(本記事の文章の校正と画像生成にGeminiを使っています。正確な情報は文献を参照ください。)